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「……じゃあさ。ヤマ兄も、少しずつでいいから教えてね」
「んっ?」
「痒いとか、痛いとか、面白いとか、辛いとか……」
「わかったよ」
なんか。
今、すごい切なくなった。
あの日の夢の中の昔のヤマ兄みたいな、
とてもとても優しい穏やかな口調で話すから。
バリアが解けたのかな。わからない。
本当のヤマ兄はいつも目の前にいるのに。
そんなことで、なんとなく。
ヤマ兄が人との深い係わり合いをどれだけ避けてきたのか分かった気がしたから。
本当にひとりぼっちだと思ってたのは、あたしじゃなくてヤマ兄なのかな。
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