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「アサに言われたくないけどな」
「はぁ?ヤマ兄が究極の鈍感じゃ。言われたくない」
「アサだろ。さっきだってねるとんで言い寄られてたくせに」
「何言ってんの?あれ、どっきりなんでしょ?」
と言いかけると「しっ」と言ってあたしの口を塞いだ。
耳をそばだてると足音と笑い声が近付いてくるのが分かった。
思わず息を飲み込んでしまった。
ガラガラガラとドアの開く音。
ドキッとしたけど閉められた後、声はまたこもって微かにしか聞こえない。
隣の生徒会室だった。
ホッとした。
だけど、秘密にするってことはこれからこんなことが何度でもあるんだろうな。
「アサは人にどう思われてるか、分かってない」
声を潜めてヤマ兄が言うから、思わずまた見上げた。
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