不可解なヒント。

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さて、寝るかと思ってるとベランダの引き戸の音がする。 その度、いつもドキドキする。ヤマ兄が部屋に来るからだ。 「アサ」 「うん」 ヤマ兄を部屋に入れると、冷たい風が一瞬部屋の中に吹き込んだ。 「寒くなったな」 なんて言いながら、あたしのベッドの上に座った。 「寒いのは苦手じゃ」 「本当に」 声を必要以上に小さくして話す姿は少し笑えるかもしれない。 「…勉強は?」 「あともう少しやったら寝るかな」 「そっか。そんなに頑張らないと大学あがれないもんなの?」 「そうだなぁ。今のところ模試受けても、判定がAとB行ったりきたりしてるからな」 なんて小さなあくびをしながら言う。 「ヤマ兄、大学生になったら同じ校舎で会えないんだね」 「まぁ、そうだな」 「…でも一緒に行けるかな。近いもんね?」 「それは無理だろ」 「あっ。そっか。授業が朝からあるわけじゃないもんね」 「つうか、うちの大学受けないし」 「へっ?」 「言ってなかったっけ?」 シラッとした顔で、驚いてるあたしを見た。
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