不可解なヒント。

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「な……何でじゃ?」 「だって、うちの大学、法学部ないから」 「あ~。そっか」 って。 「法学部?」 「うん」 「そっ…そっか。ねぇ、ヤマ兄、夢ってあるの?」 確か、小学生の頃は警察官になりたいって言ってた。 「うーん。夢っていうか、弁護士になりたいとは思ってるけど」 「べ…弁護士?」 あたしには絶対、向いてなさそうな職業。 「夢は、アサといれたらいいな」 と真顔で言うから、今宵は顔からファイヤーダンスをしてる人が出て来るのではないかと思えるくらい熱を持った。 「アサは。なりたいものとかあるのか?」 「……ない」 「そっか。まぁ、まだ時間あるしな」 あたしの顔が不安げに見えたのか優しくそう言う。 「でも、ヤマ兄と一緒にいる」 ふっと笑ったあと、あたしの唇にキスをした。 「お前、日曜日ひまか?」 「へっ?」 「どっか行くか?」 「いいの?」 「ああ」 「行く!」 思わず、ヤマ兄に抱き着いてしまった。 「じゃあ。何するか考えておけよ」 「うん」 「おやすみ」 「お!おやすみ」 思いがけない誘いに、胸が弾む。 付き合ってから、初デートだ。どうしょう。何着てこう。
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