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◇
「アサカがメンズ雑誌じゃないの読んでる」
そう言って、手にした白牛乳の紙パックを綺麗に落としたのはサヤコだった。
「なに?しかも、こんなお姉な綺麗系な雑誌読んでるの?どうしたの?…まさか、男か?」
「うぉう!違うよ。ほら、ここにもヨリ様の雑誌は健在!」
と鞄の中からもう一冊だす。さすがに重くて肩こった。
「へー。でも怪しいけど。あっ!つうか、分かった!」
また大声を張り上げるからビクビクしてしまう。
もしやバレたのでしょうか。早い。早過ぎる。
さすがサヤコには嘘はつけないか。
「これのせいで男が出来たとか?」
ニンマリ不気味な微笑みを称えながら、席に戻ったかと思うと、手にした雑誌のページをめくった。またもやタカイチくん特集だった。
うーむ。
この前、あたしのプリンを奪い取った意地悪大魔神とは思えないクールぶり。
写真ってす芸。だけど、タカ兄がどうしたというのだろう。
「カメラは真実を伝えないんだね」
「いやいやそうじゃなくてさ。あんた雑誌に載るなら教えてくれても良かったのに。びっくりしちゃったよ」
「雑誌?」
「しらばっくれんじゃないっつうの。ほら、ここ」
なぜか、あたしとタカ兄が肩を寄りそって映ってる写真がページの下に載ってる。
「はっ?」
なにこれ。なにこれ。
思わず雑誌を取り上げて顔を近付けた。老眼の人みたいに離してもみた。どう見てもあたしだった。妹のアサカと紹介されてた。
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