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家に帰って制服のままソファに座った。キョウがジュースを冷蔵庫から取り出して隣に腰かける。
「ねぇ、キョウ殿は夢ってあるのか?」
「夢?」
「うん、将来どうするか決めてるのかの?」
ちょっと無言になって考えた顔をする。
「なんもないよ。あーちゃんは?」
「あっ。あたしもじゃ」
「一緒だね」
ニッコリ微笑むから、ひとりじゃない気がして安心した。
キョウは何も考えてないんだなぁ。
キョウっぽいや。
「じゃあ、夢見つかったら教えてよ。応援する」
「でも、願っても叶わないことばかりだよ。それが夢ならいっぱいあるのになぁ」
「確かに。愛しのヨリ様にも会えてないし。チコウヨレのサイン会も行けてない」
キョウに同調すると、笑う。だけど急に寂しげな顔であたしをじっと見詰めた。
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