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「俺なら恐くないでしょ?抱きしめても?」
「…う…ん」
「俺で練習する?」
「なんの?」
「彼氏とすること」
そう言われたって、やっぱりキョウはお兄ちゃんにしか見えない。はたまた弟にも見えるし。
キョウで恋愛の練習をするというのはいまいちピンとこないし、何かが違う気がした。
「でも、彼氏いないから大丈夫じゃ。キョウはいつも優しいね。あたしを思ってくれて嬉しいよ」
「そうじゃないよ…」
「えっ?」
「そうじゃない」
キョウは真顔であたしの肩をトンッと押すから、ソファに体を沈めて天井を見てしまった。
そのまま、ゆっくりあたしを見下ろすけど寂しげな表情は変わらない。
そういえば、この前ここでなめくじ攻撃にあったことを思い出した。
だから、両手で口を覆った。
二の舞にはならない。
それに兄妹キスでもヤマ兄が嫌がるし。
「何するつもりじゃ?プロレスごっこ?」
「うん。あーちゃん、やられる役ね」
「えっ?もう負け決定?そんなの嫌じゃ」
「あーちゃん、リボン外して?」
あたしの首元のリボンに触れる。
「プロレスごっこするなら制服じゃないほうがいいけど」
そもそもうちらでいうプロレスごっこは100%、あたしがキョウに技をかけて終わるし。
やられる役なんて腑に落ちない。
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