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「アサ?」
とあたしの名前を呼んだヤマ兄は気が付けば目の前に座っていて、あたしの髪の毛を指ですくった。
その手の甲が服の上から鎖骨に触れるから、「うぉっ」と過剰に反応してのけ反ってしまう。
そんなことでキスマークが読み取れるはずないのに。
「ゴミついてる」
糸屑を目の前に突き付けられるけど、一瞬笑えなかった。
「なんでそんなに驚いてるんだよ?」
「いや。急に目の前にいたから」
「放心しすぎだな」
「うぬっ……」
「触られるのが嫌なのかと思った」
「……そんなことある訳ないのじゃ。ヤマ兄には触ってほしいよ?」
「触ってほしい?」
「うん」
「何処まで?」
「………脳内?」
「医者になんないと無理だな。アサのボケ手術」
「ぐっ……」
確かに。そうだけど。
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