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それから自嘲的に唇の端っこをあげて言った。
「じゃあ、違うヒント。今日、教えようか?」
「違うヒント?ヒントいらないから教えてくれればいいのに」
カリカリ梅をようやく手に取ると、少し哀しげな視線を送る。
「だって、ただ言っただけじゃダメってこと分かるから」
「ダメ?」
「ねえ。あーちゃん。いい加減、気付いてよ?」
お願いだからと言いたげな口調。気付くより、素直に言えばいいのに。
とりあえず、第一の予想だけは伝えておこう。何も考えてないと思われるのは釈に触る。
「……保健の先生の何かだとは思ってるよ」
そう言うと、「やっぱりヒント教えることにする」と真顔で言った。
えっ?
保健の先生のことじゃないんだ。
じゃあ、何?
他の女の子?
そんなの最近、恋愛相談なんかしてくれないし分かるはずがない。
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