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「家に帰ったらね」と付け足すとようやくいつもの笑顔に戻る。
なんでだろう。
キョウの表情ひとつひとつに息苦しさを感じてることに気が付いた。
哀しそうな顔をされたときは、特にそうだ。
言えないことがあるのは仕方ないと、割り切りながらもそんな顔をするキョウはやっぱり見たくない。
だから、タカ兄に釘を刺されても気になる。
「うん…。分かったぞな」
「あっ。ジュース」と呟きながらあたしに背を向けた。
双子だけど、分からないことがいっぱいある。
表情なんかじゃ気持ちは分からない。
どうして、はっきり言わないんだろう。
何がダメなんだろう。
考えても謎のままだ。
恋愛の話じゃなくて家族とか友達のことかな。
隠し事の種類なんていっぱいある気がした。
ふと、クルシュウナイのイラストが描いてあるスナック菓子に目が止る。
新商品?
そっと手を伸ばすと、もう一方から手が伸びて袋の端を掴んだ。
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