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「写メより可愛いね」と、また後ろから別の男子が現れた。タカ兄より、もっと年上の人。
なんとも軽い一言と共に。
「ありがとうございます」と、言いながら苦手な言葉のせいか少し恐くなって、自然とヤマ兄の服の袖を摘んでしまった。
「どう?今度こいつと一緒に出てみない?」と、パッと名刺をあたしに見せた。
タカ兄が読モをしている雑誌の編集部の人らしい。野茂と書かれていた。
それをパッと奪ったのは、「そんな特集を組んでも誰も読みませんよ」と言ったタカ兄で。
「そう?けっこう反響良かったけどな。妹可愛いって」
「勝手に載せたくせに。……はいはい。じゃあ、また」
タカ兄がそこで話を切り上げようと、背を向けた瞬間、あたしの手を取り名刺を握らせた。
ぞくっとしたけど、「暇だったら、遊びにおいでね」と、愛想良く笑うから、変な顔も出来ない。タカ兄の知り合いだし。
胃腸にくる前に車へと戻れたけど。
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