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「そういや、ヤマ兄ってどこの大学行くの?」
ふと新たな希望が湧いた。
ヤマ兄と同じ大学に行くなんて考えもある。
違う学部でもいいから同じキャンパスライフを過ごせるかもしれない。
だけど、ヤマ兄が言う大学は所謂、東京六大学のうちのひとつで。
「えっ?」と、思わず耳を疑ってしまった。
「そんなに驚くか?」
「うぬっ。そんなところ目指してたとは…」
早速、湧いた希望は引っ込んでしまった。あたしには無理だろう。
「目指すなら上がいい」
そういう彼の目の先には、自分の道が決まってるみたいに見えた。
あたしはヤマ兄がいればいいだけで、道なんかなく、白紙だというのに。
「……やっぱり頭のいい人が好き?」
「頭のいい人?まあ、悪いよりいいほうがいいんじゃないのか?」
「何も考えてない人より考えてる人がいい?」
「何も考えてない奴なんかいるのか?」
疑問を投げかける目であたしを見た。
隣にいるというのに。そんな奴考えられないということだろうか。
なんか恥ずかしくなる。
「そ……そうじゃな!」
いたたまれない気分にかられ、本屋に着くとヤマ兄から逃げるように離れてしまった。
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