2969人が本棚に入れています
本棚に追加
/522ページ
いつもの雑誌のコーナーでヨリ様の表紙の雑誌を手にする。
今月号はクールにカメラを見詰めていた。
本当、何を着てもどんな表情をしてもサマになる。
天職というものなのかな。
モデルをやる為に生まれたみたいな人だな、と生身のヨリ様の姿を思い出してみても、実感してしまう。
あたしは何をする為にいるんだろう。
ヨリ様とか武士とかクルシュウナイとか好きだけど。
受け取る側の好きじゃなく、発信する側の好きを作ってみたいと思った。
そしたら、あたしももう少し魅力のある人になれるかもしれない。
頑張ってるヤマ兄に見合う女子になりたい。
ヤマ兄と釣り合うようになりたい。
あたしがやりたいことってなんなんだろう。
しばらくして、ヤマ兄が「買ったけど」と横から覗き込んできて「ひょえ」と変な声を出しながら我に反った。
「本当に、そいつ好きなんだな」と少し呆れた目をされた。
ヤマ兄の瞳に映るのは、ただのミーハーなあたしみたいで嫌な気分になる。
最初のコメントを投稿しよう!