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そのせいであたしはヤマ兄との約束もキョウとの約束も破ってしまった。
珍しく家の中からメールを送った。頭痛いから寝るって。
ヤマ兄からは[おやすみ]って返事がきてキョウからは返事が来なかった。
おやすみのキスも、キョウのヒントも教えて貰わなかった。
タカ兄が変なこと言うから、意識して仕方ない。
だけど、翌朝。いつもより早くキョウが起きてきた。
「あーちゃん。おはよう」
変わらない笑顔をあたしに向ける。
「お……おはよう」
「昨日気付いたら寝ちゃってた。風呂入ってない!」と急に慌てて、お風呂場へ走り出した。
キョウもあたしとの約束を忘れて寝てしまったんだと思うと、
そんなに大した話でもなかったのかと、肩の力が余計に抜けてしまった。
やっぱり考えすぎかな。
コウメちゃんと付き合ってるのは確かだし。
他に付き合ってる子もいるかもしれないし。
それなのに、キョウのことを意識してしまってるって自覚があるんだ。
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