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放課後、
「あーちゃん!一緒帰ろう」
廊下でキョウが手招いた。
「うん」
鞄を手にしながら、キョウに部活に入ることを告げようと覚悟を決めた。
「今日、眠くてずっと保健室で寝てたよ」
「昨日、寝るのが早かったのに?」
「そうだよ。病気かな?これ?」
「眠り病?そのうち夢から覚めないかも」
「ええっ?恐いっ!」
そう言って笑いながら肩をすくめる。
「……キョウ。あたし部活に入るかもしれぬ」
「……えっ?なんで?」
「んーと。カマさんに前から誘われてて。
家庭部なんだけど。ほら、料理好きだし。
勉強になるかななんて。
キョウにお弁当の袋縫ってあげれるし。
あっ、でもね。
すぐ終わるみたいだから今まで通り、ご飯とか作るよ」
笑ってみたけれど、キョウは笑い返しもしなかった。
ただ、また哀しげに視線を落とした。
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