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「何それ。もう、俺の話なんか興味なくなっちゃったの?」
「そうじゃないのじゃ。あたし馬鹿すぎてわかんないからさ。ヒント言われても分かんないし」
「……」
「内緒にしてるってことは言いたくないんでしょ?無理に聞かないのじゃ」
そう言うと「あーちゃん。忘れ物しちゃった」とクリッとした瞳を細めた。困った顔。
「どこに?」
「保健室。眠り病のせいだね。携帯置いて来ちゃった。一緒に取りに行ってくれる?」
保健の先生に会うのはあたしの中じゃ気まずいけど、何もないとは聞いてたし。躊躇いがちに頷いた。
保健室のドアの前に立つとキョウは辺りを気にする様なそぶりを見せるから、つられてあたしも周りを見てしまう。
廊下の奥に歩く生徒の背中が見えただけだった。
ガチャッガラガラとドアの開く音がした。
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