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キョウに促されるように先に一歩進む。
ドタンッと音がしたと思ったら、キョウが何もないところで転んでいた。
「膝打った。痛い」
またもや半泣き顔で膝を抱える。
「キョウ殿、器用じゃな」
呆れ顔を作ると「携帯とってきて」と甘えた声を出す。
「また人を使って。どこ?」
「右のベッドの枕の下だと思う」
「右のベッドね」
呟きながらふとおかしなことに気が付く。
保健の先生がいない。なんで開いてたんだろう。鍵閉め忘れたのかな。
ガチャガチャと音がして、ふっと見るとキョウが膝を押さえて立っていた。
なんか痛そう。
枕をヒョイと持ち上げてみるけど何も無い。
「キョウ、ないけど?」
「えー。嘘だぁ。もっと探してよ」
「何をぬかす!キョウも探してよ」
ピョコピョコと足を軽く引きずってやってくる気配を感じた。
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