保健室のキス。

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「痛……い」 それでも声を押し殺そうとしてしまうのは、あたしがキョウをこんな風にさせてるってわかるから。 だって、キョウは優しい子なんだ。こんなことする子じゃないんだ。 人を傷付けたり叩いたりすることだって好きじゃないはずなんだ。 だから、あたしに痛みを与えるキョウはもっと痛いんだと思う。 キョウの苦しみは、あたしがヤマ兄に片思いをしてた苦しみと一緒なのかな。 あたしも気持ちを伝え様とする度、悩んで言えなくて伝わらなくて何度も苦しい思いをしてた。 キョウだって、兄妹だからって悩んで、それでも気持ちを伝えようとしてくれてたんじゃないかな。 そんな日をどの位過ごしてきたんだろう。 だけど。 あたしが、キョウの気持ちにもっと早めに気付いていても、変わらないんだと思う。 それでも、ここまでキョウを追い詰めることはなかったのかな。
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