保健室のキス。

17/19
前へ
/522ページ
次へ
また頭をあげると、あたしに深いキスをした。 最後にチュッと音をたてる優しいキスをしてあたしの頭を撫でながら、「ごめんね。あーちゃん」って言った。 「ごめん。キョウ」 「ネギ……買いに行く?」 そっとあたしの体を起こす、その手は別人みたいに優しい。 「うん」 「今日、特売日だっけ?」 「……うぬ」 「……やっぱり先帰っていいや」 「……うん」 「文化堂のタイ焼き買って帰るからお家で食べようね」 ニコニコと笑いながら言う。瞳の表情は変わらないまま。 「うぬ。今夜はご馳走にするぞ」 慌てて背を向けながら乱れた制服を直した。 鞄を手にして立ち上がるけど、キョウは動く気配もない。 「抹茶といちごとチョコの味は食べたいから」 勢いで振り返ると、軽く頷いてくれた。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2969人が本棚に入れています
本棚に追加