こんなあたしでいいの?

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「お守り作ってきたのよ~。受験の、お・ま・も・り」 何かをヒラヒラさせてる。 あたしは一歩も動けず、何故か固唾を飲んで見守っていた。 あの刺繍はお守りにしていたのか。なんか可愛いけど、カマさん。 ヤマ兄が何か言おうとする前に、視線をストーカーアサカに向けた。 しまった。何やってんだ、あたし状態で思い切り目を逸らしてしまった。 だけどヤマ兄は視線を外すとまたカマさんと隣の女子に向けて、何か話し出した。 あれ。 避けられた。 話し掛けてくれてもいいんじゃないのか。 そう思ったけど、図書室の中はあたしが立ち入れられない別空間に思えてしまって。 結局、そのまま下駄箱へ向かう。 今、何時かな。キョウ、家にいるのかな。2人きりになるのが、やっぱり怖い。 そう思って時計を見ているとご機嫌なカマさんが戻って来た。 「お守り受け取って貰いましたか?」 「カマに似合う色だから持ってて欲しいって言われちゃったわぁ。だから、あたしがヤマトを思って毎日肌身離さず持つの」 と軽く微笑んでから、 「あの女、ヤマトと同じ大学行くらしいわよ。あたしも受験しちゃおうかしら。憎らしいわ」 とハンカチを噛んでキィィと言い出した。
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