こんなあたしでいいの?

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◇ ヤマ兄の帰りが遅い。時計は21時を過ぎる。 結局、一人で夕飯を食べて湯舟につかってるところ。 キョウは部屋にこもっていて、顔をあわせずにすんだけど。 ふと、放課後の光景が脳裏に過ぎる。あの女子はなんだったんだろう。同じ大学目指してるって、なんか気になる。 そんなことを悩みながら、ふと胸元を見るとキョウにつけられたキスマーク。 赤じゃなくて、青くなってる。まるでアザだった。 これを見ると、こうやって、悠長に自分のことばかり悩んでしまってるのがいけないことみたいに思えた。   キョウだって、きっと悩んでるのに。 あたしはこういう時だって、こうしてヤマ兄のことばかり考えてる。 キョウとはあんまり顔を合わせないようにしてたから。 そっとしておけば、いつかは、普通になれるかな。 なんて、時間の流れに任せようなんて、安易に思ってること自体、キョウの気持ちと向き合ってあげれていないのだ。 「キョウ、ごめん」 呟いてみたって何もならないのに。頭までお湯につかってみた。 息苦しさが今は心地いいのだ。 そんな変な入り方のせいかすっかり上せてしまったのは言うまでもない。 上がってから、キャミソールにツンパ一丁といういでだちでバスタオルを肩にかけた。 軽く髪の毛を拭いた。湯冷めしたら乾かそう。 とりあえず水分補給しないと干からびてしまいそうだった。
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