こんなあたしでいいの?

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リビングに行くと、カウンターキッチンの向こう側にヤマ兄がいた。 「風呂?」 「そうじゃ。上せちゃって」 「つうか、その格好……なんか飲むか?」と訊く。 少し目を細めて呆れたみたいに、冷蔵庫を開けた。確かにはしたないけど。 みんなだってお風呂上がりツンパ一丁だったりするじゃないか。 しかめっつらをしてから考え直した。 ……そういうことじゃないか。 なんとなく、見せたくないって思ってくれてるんじゃないかな、なんて思ってしまう。 自分に都合のいい解釈。 「誰もいないと思ったからだよ。んとね、水でいいや」 どうやらヤマ兄は電子レンジでなにか温めているみたいで、ミネラルウォーターを取り出して注いでくれた。 頭に巻いてたタオルをほどいて、濡れた髪の毛をくしゃくしゃしてると、目の前のダイニングテーブルにグラスが置かれた。 「髪拭いてやる?」 あたしの隣の椅子に腰かけると微笑んでくれた。
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