こんなあたしでいいの?

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「うん」 ヤマ兄の大きな両手で髪をくしゃくしゃするから、ずぶ濡れになった猫になりたくなった。 「ヤマ兄、痛い」 「優しくやってるけど」 「これで?」 「うん」 こんな特権も、同じ家に住んでるからかな、なんて思うと放課後の出来事が小さく思えてきた。 チーンとレンジの音がして手が止まった。 「ありがとう」 ヤマ兄の手からタオルを受け取ろうとすると、床に落ちてしまった。 椅子に座ったまま床に手を伸ばすと、キャミソールの胸元がフワリと広がる。 慌てて手で押さえた。見られてないよね、と内心焦るけど。 顔をあげると、ヤマ兄はあたしを見ていたまま。 「レンジ鳴ったんじゃないの?」 「うん」 「取ってこようか?」 「いいよ」 「そうかの?」 「最近、どうした?」 その問い掛けにドキリとする。
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