こんなあたしでいいの?

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咄嗟にキョウにつけられた胸のアザを思い出して、ヤマ兄の手を払ってしまった。 「ご……ごめん。冷えてきちゃったのじゃ」 慌てて紐を戻して、手にしたバスタオルを肩にかけた。 見えたかな。 見えてないかな。 あたし、なんでこんな格好してるんだろう。 気をつければいいのに。 「風邪気味だっけ」 少し言葉を遅らせたヤマ兄。どうやら見えてなかったみたいでホッとした。 「う、うん。悪化したら大変じゃ。パジャマ着るね!ありがとね」 慌てて、リビングを出て行った。 気付かれなくて良かった。 安心しながら、ヤマ兄に言えないから。 部屋の鏡で見た胸のアザは、さっきより濃くはっきり浮かんで見えてしまった。 キョウにあたしのことまだ好きなんだって言われてるみたいだ。
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