強がり。

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「何それ?」 「何で赤髪が俺を狙ってたのかってこと」 「ああ」 そっか。 あたしはその理由を知ってる。 だけど、ヤマ兄は知らなかったんだ。 一言で言えば、逆恨み。 感情の詳細を言うのであれば、ルリカとミフネさんが付き合っていたときに、ルリカがヤマ兄のことを好きになってしまったこと。 だから、ミフネさんとの別れを選んだ。 それがミフネさんを怒らす原因となり、ヤマ兄に喧嘩を売ることに繋がったんだ。 それを知ったということなのかな。 「なんでなの?」 あたしは知らないふりをして訊いた。 自動ドアの前で足を止めると、行きたくないと思ったあたしなんか関係なしにサッと開いた。 ヤマ兄が歩くから、あたしも歩く。 引き返したいのに。 病棟内の地図を一瞥して、左に曲がると迷いもなくエレベーターに乗り込む。 3階を押した。 すっと上へと動き出す。
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