一日目 ご飯

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「てかあのシチューのどろってしたやつ作らなきゃだよな」 「あれはホワイトソースだったような気が…」 「まぁそんな大層なものここにはないわけで」 「ちょっと待て。ないからってお前何入れようとしてる」 「水とき片栗粉」 「なんでやねん」 「なんでいきなり関西弁?」 「なんでそうなったか薄々分かるが理由を言え」 「白くてどろっとしてるから」 「馬鹿か馬鹿なのか。それはどろっとさせるためじゃなくとろっとさせるものだ」 「えー変わんねぇよとろっもどろっも。片栗粉多く入れればとろっもどろっになり得るさ」 「どうしたってなり得ないわ」 「諦めるなよ、片栗粉の可能性を信じてやろうぜ。やつら本当は翼を持ってるんだ。羽ばたけるんだ。ちょっと勇気がないだけで」 「そんな抜群のとろみで出来た翼じゃどこにも羽ばたけねぇよ」 「なんだよさっきから文句ばっかり。ちょっとはお前も代用品考えろよ」 「うっ……た、例えば…豆乳とか…」 「ほう?ヒノさんはそんなオサレなダイエット飲料みたいなものがこの刑務所にあるとでも?」 「じゃあ牛乳」 「んなもんあったらとっくに使ってるわ」 「ヨーグルト」 「そんな優雅な朝食に出るようなもんますますないわ」 「じゃああれだ、卵の白身をなんか上手いことやるんだよ」 「お前最早俺とどっこいどっこいどころか下手したら酷いぞ」 「大体なんで刑務所だからってこんなに何もないんだよここは」 「あんまり食べ物置いておくと夜な夜な盗みに来たりする輩がいるらしい」 「マジでか」 「プロ並に調理して食べるから今までの不味い飯に暴動が起きるらしい」 「作る奴が頑張れよ。てかもうそいつが作れよ」 「今の材料で作れたら南極料理人になれるな」 「刑務所でまさかの才能発揮しちゃったよ」 「まぁそういうことで投入ー」 「どういうことだ」 第二食材 水とき片栗粉
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