五行

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少し疲れた二人はホテルのベッドに腰掛けた。 社長は和美の指を見ながら言った。 「初めてみたよ。鉄砂掌」 「摩耶はしないの?」 和美は社長を名前で呼んだ。 「僕の師匠はしてなかったなぁ。僕もしてないよ」 和美の手の第三関節の上に小さな茶褐色の斑点があった。それに摩耶は鼻を近付けて言った。 「鉄の匂いがする」 「もう、恥ずかしいじゃない」 和美は、手を引っ込め頬を赤らめる。 「ねえ、さっきのもう一度教えて」 そして、上目遣いで摩耶にねだる。     *    * 「こう?」 「そう!そんな感じ」 「これでいい?」 「そう!それでいいよ」 和美は額の汗を拭いながら訊いた。 「シャワー使っていい?」 「ああ、少し休もう」
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