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「凛々果は愛されて育ったんだな」
「廉ちゃん、家族で楽しかった記憶って
全くない?
ご両親と離れるまでで楽しかった事
全くなかった?」
お母さんの質問に
廉次は少し考えて
「楽しかった記憶しかない…」
「廉ちゃんも愛されて育ったんだね」
「捨てられたんだよ…俺」
「そうね、大人の事情なんて
子どもには全く関係ないわよね
でもね、楽しかった記憶しかないって事は
大切に育ててくれたって事だと思うの
何があっても子どもを捨てるなんて
あってはいけない事だけど
辛かったと思うわ…大切な子どもと離れる事」
「離れる事が廉次の為だと…
その時は信じてたんだよ
親だって…完璧じゃないよ」
「10年過ぎたんだ
廉次も大人になっただろ
自分の立場からだけじゃなく
お母さんの立場になって考えられたら
見えて来る事もあるんじゃないか」
廉次は何も言わなかった
だけど何か考えているようだった
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