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HARD RAIN~探偵 鳴神の章
1.
やめていたタバコに火をつけた。
難しい事件にぶつかると、どうしても手が伸びてしまう。
「ふーぅ・・・」
煙をはいたのか、ため息なのかよくわからないものをはきだしていた。
このイライラを体の外に出してしまいたい・・・
繊細とは程遠い俺でも完全なる無神経にはなれないようだ。
「ちょっと!また事務所でタバコなんか!やめなくてもいいけど吸うときは換気扇の下か
ベランダで・・・もう!聞いてんのちょっと!」
と、急に登場したこいつは俺の助手で世話係の涼子。
訳あって俺は涼子の面倒を見ていたが、高校を出ると俺の仕事を手伝うなんていいだしや
がった。
それがもう四年も前のこと。
昔は俺を父親のように慕っていた・・・様な気がしたが、今じゃ嫁か母親か位に俺の世話
をやこうとする。
天涯孤独の身の俺にはそんな涼子の存在は唯一の家族というような感情を与えてくれてい
た。
ま、家族ってもんがどんなもんなのかも知らない俺の感情だからあてにはならんが。
「あーうるさいねぇ。女は年取ると小うるさくなってきやがるね。気になる男の一人や二
人いるんだろ?早く結婚して家庭に入ったらどうだ?そのほうがお前には合ってると
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