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自己紹介が遅れたが、俺の名は 鳴神 響司。
ナルカミ キョウジと読む。
おじさん・・・何て言われると気が滅入るから名前で呼ばせていたが、いつの間にか友達
感覚で呼ぶようになってきやがった!といったところだ。
俺は涼子に背を向け座りなおす。
やれやれだぜ。
なんにせよ、銃声が聞こえたのは一度だけという証言者。
実際、発見された銃弾は、被害者のコメカミを貫いた一発だけ。
そして、ほどなくして容疑者が発見され逮捕される・・・ハズだった。
そんなに複雑な事件じゃない。
一人のチンピラが撃たれただけの事件。
すぐに終わり、俺の出番なんて金輪際ないはずの事件だった。
ただひとつ、激しい雨が降った日だった。
たったそれだけで、警察は何一つ、犯人の痕跡を見つけることが出来なかったのだ。
たかだか「雨」のせいで。
足跡も、目撃談も凶器も何もかも・・・
チンピラが殺されただけの事件だから本気で捜査しなかった?とも思えるが、依頼人はそ
うは思っていないようだった。
そうでなければ俺にワザワザ依頼に来たりするはずがないのだから。
ただ、何も進展らしい進展もないまま日にちだけが過ぎていく。
依頼人には金はいいか
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