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___ああ、そうか。
わたしは改めて自分の器を知る事が出来た。
今まで、ひとつの物事をそれそのままとして捉えていたから、わたしの行動理論は迷いが無かったのだ。
それは言い換えれば妄信的とも呼べるもので、過程を試みることの無い極論に支配された歪みの無い規律。
絶対的な事柄・立場に対する意識にまともに接しようとせず、淡々と従い、
信じるものと信じないものとに確固たる枠引きを設け、白か黒かのどちらかを絶えず求めて生きていた。
思えば、簡単に人の全てを否定してきたものだ…
人の心境は虚ろなものなんだと、少し考えたら簡単にわかる事なのに。
どうして人は役職や立場や主義に結びつけて、たった一度の言葉でその人間の全てを否定するのだろう。
それも、時には当人の意思ではなく、社会全体が生み出した目に見えない歴史の積み重ねによって。
考えてみれば恐ろしい事だ。それも生命としての本能的構造が生み出したひとつの繁栄の形だとすれば。
枠引きを設けた信条…その信条は、当人の置かれた立場や環境で変わる。
それをわかっていて尚、人は他人を否定する。それによって人類が積み重ねてきたものとは、一体何なのか。
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