虚水(うつろみず)

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 目印となる目立つ街灯がある脇道の入り口に足を運ぶと、「立ち入り禁止」の柵が目に入った。  わたしは構わず奥に進んだ。無謀だの勇気だのでは無い、言い知れぬ感覚に心が震えていた。  小道を下り砂利道に出ると、今まで歩いていた景色がとても大きく感じられた。  橋の真下まで歩を進めると、改めて高低差がある事を確認出来る。  見上げた世界。今までわたしは何度もあの場所を歩いた。なんだろう、この感覚は。  消失点が異なるだけのその光景が、わたしにはどこか異質であり、また素朴な疑問が生まれる。  同じ場所はあっても、同じ時間というものは無い。時は常に流れ、移り変わっていく。  わたしは何を見ようとしているんだろう。何を感じようとしているんだろう?  ………  わたしはシャッターを構えた。  普段気にかける事の無い存在が、その時ばかりは非常に意味のあるものに見えた。  緩い角度で放物線上に掲げられた足場を支える、垂直に伸びた石柱。均等な間隔で連なった灰色の「基盤」。
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