プロローグ

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「いってきまーすっっ!」 「あ、のばらー」 玄関を開けて猛ダッシュしようとした瞬間おばあちゃんに呼び止められる。勢い余って中途半端に履いていた靴が脱げそうになった。 「なに?」 「ついでにコレ、山下さんちに届けてきて頂戴」 「はぁっ!?」 「じゃ、よろしくね」 紙袋を玄関先に置いて、スタスタと中に戻って行くおばあちゃん。 「えぇっ!? ちょ、ちょっと、おばあちゃん!!」 私さぁ、急いでるって目に見えて分かるよね !? おばあちゃんマイペース過ぎるよぅ……。 袋の中を覗くと沢山のナスとキュウリ。手に持つとズシリとした重み。 あぁ、もう、仕方ない。 おばあちゃんと言い合ってる暇もないし、紙袋を抱えて走り出す。 とりあえず、目指すは山下さんち! 熱い陽射しが漏れる杉林の道を通り抜けて、長い坂を駆け下りて行った。
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