プロローグ

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「あぁ駄目だっ。このままじゃ間に合わないよー!」 かくなる上はっ!! と、先程まで走っていた道からずれて、青々とした緑の葉っぱだけになった紫陽花の木が並ぶ中に慣れた足で入って行く。 近くに神社があるこの紫陽花畑は、時期になると沢山の紫陽花が様々な色の花を咲かせ、ちょっとした名物になる。 だけど季節が過ぎればただの緑の紫陽花。加えて町から少し離れた寂しい場所。見に来る人なんていないに等しい。 さっきまで走っていた道は、この紫陽花畑をぐるりと半円を描くように出来ている。 つまり、この紫陽花畑を突っ切ってしまえばかなりの近道になるっていうこと。 小さい頃からよく知っているこの紫陽花畑。今日みたいに急いでいる時にはいつもこの中を走って行った。 私にとっては『秘密の場所』みたいな感じになるのかな?
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