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――私、あいつに名前教えたっけ? 『じゃあまたな、のばらチャン』 何で名前知ってるの? 「……ねぇっ!ちょっと」 待ってよ!の言葉までは続かなかった。 振り向いた紫陽花畑にハルの姿はもう無かったから。 『またな』って、また会うつもり? 約束もしてないのに。 何でそんなこと言ったの? ……イマイチ掴めない男。なのに何故か気になって仕方がない。 『ハル』については分からないことだらけだから? 別に知らなくてもいいことなのに。 ……今日の私はどこかおかしい。 あんな奴どうだっていいハズなのに。 そうだ。きっとこの暑さのせいだ。 暑さのせいでおかしくなっちゃったんだ。 だって、こんなにも頭の中は『ハル』で一杯になってるから――。
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