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「あー!もうっ!重いよぉっ!」 いつものバッグとおばあちゃんに頼まれた山下さんち用のナスとキュウリ。 右手が痛くなったら左手に持ち変えて、文句を言いながらも紫陽花畑をひたすら走る。 時に緩やかな傾斜になっていてそれがまた辛い。 やがて前方に近づく大きなケヤキの木。 紫陽花畑の中には所々に影を作る何本かのケヤキがある。 その中でも一際大きな木。 子供の頃は、おばあちゃんにお弁当を作ってもらって1人で遊びに来たりもした。 昼寝は大抵その木の下で。 ……今から考えると結構不用心だったんじゃないかと思う。 でも、それくらい平和だったってことかな? のんびりとした時間が過ぎる町。 それは今も変わらないけれど。
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