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それなのに今の私にはのんびりとした時間を過ごす余裕なんてない。 とにかくひたすら急ぐのみっ! だけど 「あぁ、手がもう限界……」 両手にはくっきりと紙袋の紐の痕。 おばあちゃん、こんなに持たせることないのにっ! 半ばヤケになって『えいやっ』と紙袋を胸に抱える。 と同時に、脇を抜けた紫陽花の影。 目に入った靴の落とし物。 じゃ、ない。 ――人だっ!! 「っきゃぁぁぁぁっっ!!」 「痛ってぇ!!」
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