1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここが、宇都宮北魔法学園か……」
環状線から少し離れた場所に立つ、近代的な建物。なんでも、数年前に、とあるアニメを見て校長が改築させたとかさせてないとか。2011年あたりに話題となった中学校をモチーフにした、宇都宮北魔法学園。入学案内で、イタリア語が必修になっていたのは、関係があるのかないのか。
そんな宇都宮北魔法学園の前に立つ、やや中性的な顔の少年こそ、この物語の主人公、能登安之である。
「姉さんが、ここの魔法学園は良いって言ってたし、魔法学園でほかに行きたいところもなかったから入学したけど、ほんとに良かったんだろうか?」
いまさらになって後悔する。しかし、後悔先に立たず。安之は自分の心に渇を入れ、門をくぐる。
……その瞬間、安之の目の前に広がったのは、前後左右、どこを見ても女子しかいない、花園のような空間だった。
「もともと女子高だったとはいえ、男っ気なさ過ぎるなぁ……」
安之の通うこととなる、宇都宮北魔法学園は、昨年度まで、女子高だったのだ。今年度から共学にはなりはしたが、当然、男子生徒はいないに等しい。
最初のコメントを投稿しよう!