水軍衆

15/19
前へ
/858ページ
次へ
善吉達忍軍は清州に入る直前に散り姿を消し、善吉は予定通り川野屋に向かった。当然ながら先程姿を見せた謎の忍軍の尾行が無いか細心の注意を払いながらであった。 善吉の曇った表情を観た友春はまずは身を案じた。 「如何したのじゃ、怪我をしとるのか?」 その言葉に善吉は我に返ったように目を見開き慌てて平伏した。 「殿、何やら大層な土産でもあったようですな?」 善吉が報告する前に新吉が察して言うと善吉が頷き、知多衆への焼き討ちは見事に完遂できたが帰路に謎の忍軍と遭遇した事を報告した。 「なっ、何!何をしておるかっ!善吉っ!」 突如、激しく叱責したのは新吉である。善吉率いる忍軍の存在を何者かが知っていたと言う事は善吉達が尾行に気づかなかったという事でありその怠慢に怒ったのである。 「まぁ待たれよ新吉殿、して善吉よ、その忍とやらは何者か分かるのか?」 友春は新吉が取り乱した事で逆に落ち着き払ってそう善吉の言葉を促した。 「申し訳ございませぬ、相手方の姿は確認出来ませなんだ・・・ただ、相手方は分身の術を使う事から伊賀者と思われます」 「なんと・・・善吉が手玉に取られたのか?」 友春は善吉の忍として絶大の信頼を寄せていた為、驚きを隠せなかった。
/858ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15814人が本棚に入れています
本棚に追加