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友春は朝一番から清州城へ登り信長へ報告していた。
「熊野水軍が約定通り志摩近海に出張り知多衆への牽制に成功しましてございます」
友春は開口一番でそう報告すると信長は静かに頷いた。
「ようやった。さらに今朝方、知多衆の根城が火事で大半が燃えたと報告が入ったぞ」
「真にございますか?これで奴らも当分動けませぬな」
友春はわざと驚きそう言ってのけた。
知多衆はダメージを受け今川軍を海上輸送して尾張奇襲どころではなくなっていたのである。
「して友春よ、此度の騒ぎの源である斯波義銀殿は尾張から追放と致す、お主ならばどこへ追放するか?」
信長は尾張守護であるが実質お飾りを除く事にした様でありそんな質問を飛ばして来た。
「はっ、余り尾張に近くとも誰ぞに担がれるやも知れませぬ、遠くとも大殿への風当たりが強うなるやも知れませぬ故、ここは斯波家の館もあり長年お住まいになった京へ送るのが上策かと存じまする」
友春は史実で信長は京へ斯波義銀を追放した事を知っていた為、色々理由を付けてそう返答した。
「左様、そこまで言われては面白うないわ」
信長は自分の考えを見事に言い当てた友春にそんな悪態を付きながら笑った。
「まぁ良い、今後の当家の矛先は美濃じゃ」
「恐れながら大殿、此度もありましたが東方は如何致しましょうや」
友春は思い切って今川方への考えを聞いてみた。
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