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「それじゃ、善吉。龍興公の事じゃ、戦意を失っても腹は切らぬじゃろう。おそらくその抜け穴で脱出しようとするはずじゃ。本丸に一番乗りも手柄じゃが、やはり敵大将を捕えてこそ一番手柄じゃ」
友春は興奮気味に話し立てた。
友春も美濃三人衆の調略した時点で、どこか仕事はほとんど終わった様な感覚に捉われていた為、まさかそのような抜け穴があるとは知らず、降って湧いたような手柄の流れに喜びを隠せなかった。
「よし、善吉は数名の配下とその横穴を探してくれ。そうじゃ茂助を連れて行くが良い。あやつは山人として数年間、美濃の山を転々としておったはずじゃ」
「畏まりましてございます」
それから善吉は堀尾茂助吉晴と共に稲葉山の抜け穴の出口探しに精を出すと、堀尾吉晴の経験からくる助言から、あっさりとそれらしき横穴を発見した。
善吉はその横穴を隈なく探索すると1つの縦穴を見つけ出すと、吉晴と共に笑った。
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