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ふと、修道院の裏手から、二人のシスターが出てくるのが見えた。
彼女たちが出てくるのを見計らったかのように、どこからともなく猫が集まってくる。
白いのや茶色いの、斑、虎縞。大小様々の猫たちが、茂みや塀の影から現れ、シスターたちの元へとかけてゆく。
よくよく見てみると、彼女たちは手に何か持っていて、猫たちの目当てはその何かのようだった。
「さあ、お腹が減っているでしょう、おあがりなさい。」
シスターたちが持っていたのは、たくさんの小さなウグイが入った器だった。
漁師が川で取り、あまり小さすぎたり、状態の良くないハネものをもらってきては、猫たちにあたえているのだ。
「神は、小さな命にも等しく慈悲をかけてくださいます」
なるほど、そりゃあいいや。神ってやつは、野良猫にも食料を振る舞ってくれるらしい。
彼は、自分もその恩恵にあずかろうと、他の猫たちと同じように、シスターたちの方へと駆け寄った。
だが、駆け寄ってきた彼を一目見たシスターは、顔を強ばらせ、信じられないことを口走った。
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