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「あ…悪魔の使いだわ…!!」
…今、何て言った?
それからは、何がなんだかわからなくなった。
今の今まで穏やかに微笑んでいたシスターが、いきなり取り乱したかと思えば、自分を指差して悪魔の使いと騒ぎ立てる。
もう一人のシスターも「なんて穢らわしい!!」と、悲鳴まで上げ始める始末。
これはいったいどういうことだ?俺はただ、他の猫たちと同じようにしようとしただけなのに。
集まっていた野良猫たちも、シスターたちのあまりの発狂ぶりに混乱し、来たときと同じくバラバラな方向へ逃げていく。
「おい、お前もさっさと逃げといた方がいいぜ」
白地に黒と灰色の斑模様のじいさん猫が、走り去るときにそう耳打ちしていった。
頭の中はまだぐるぐるして、この状況を理解できていない。
しかし、シスターがウグイが入っていた器を、こちらに投げつけようと振りかぶっているのを見て、彼はようやく逃げ出したのだ。
「漆黒の体に、死神の鎌のような尾!!あんなに不吉な猫は見たことがないわ、早く追い出して!!」
後ろから、そう叫ぶシスターの甲高い、耳障りな声が聞こえ、やっと理解した。
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