嫌われ者の行進

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走り去る途中、ちらりと振り返った子供の顔には、意地の悪い笑みが浮かんでいた。 彼は、追いかけていって思いっきりその憎たらしい鼻っ面を引っ掻いてやろうかとも思ったが、ふんっと鼻をならして終わりにした。 あんなやつのために、わざわざ爪を汚すこともない。 彼は逆立っていた毛がゆっくりともとに戻っていくのを感じながら、落ち着き払って毛繕いをし、夜の路地裏の闇へと消えていった。
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