1:猫の鼠を窺うよう

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2人は同じ学科だったことから、何となく気があって、仲良くなった。 そしてお互い、入りたいサークルがないということで意見が一致したものの、とりあえず何かには入りたいということになって、今日に至ったのである。 今日、男性が敷地に堂々と入れるのは、サークルの勧誘のため。 彼らは他の大学からやってきて、桜木大学の女子学生を確保しようと必死になって、声を張り上げていた。 「テニスサークルばっかりじゃん」 恵美がチラシをめくっている間にも、何枚ものチラシが上からのせられていく。 その有無を言わさない行為に、最初は戸惑っていたものの、もうすっかり慣れてしまっていた。
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