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リックはあからさまに嫌そうな顔をしたくせに、ぬきとってまじまじと見始めた。
それはバンビが大切にしている写真。1枚はスポーツジャーナリストのさくらにもらった現役時代の試合の写真。スナップでもポスターにできるほど決まっている。
もう1枚は東明杯で優勝した時、クラブの皆と集合してとった写真。真ん中あたりに写っている高真もバンビも、晴れ晴れとしたいい顔だ。
そしてやや分厚い3枚目はポラロイドで、昨日日本を発つ時に空港で時任が撮ったもので、2人が不自然な形で寄り添っている。
実は撮る時に渋谷がいたずらをして、バンビを横から突きとばしたのだ。それを高真が抱きとめ、腕の中ではにかむバンビにそれはそれは優しい眼差しを向けた――――瞬間に、シャッターをきったものだった。
「高真? ……信じられない。」
リックは写真をポイっとテーブルに捨てると、ベッドに歩み寄った。
「……君はよく寝るなぁ。大変興味深い眠り姫様だ。」
王子がベッドの端に腰かけると、きしんだ音とケットのつっ張る違和感に、ようやくバンビが目をあけた。
「…………?! 昨日の人…なんで…?!」
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