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美しい不法侵入者にパニックになって、ケットで半分顔を隠したバンビに、リックは昨日初対面同様の笑顔を見せる。
「Доброе утро,Принцесса」
「ロ、ロシア語っ…なんだっけ……」
リックがクスッと笑う。
「えっ?」
そしてバンビの右手をそっととると自分の唇に導いて、もう一度、今度はゆっくりと「Доброе утро」と言った。
「なにこの人?!」と真っ赤になって困惑していたバンビだが、2回目で閃いた。
「あっ! Доброе утро…おはようだ。 Доброе утро! リック。」
ひとまず挨拶が通じたからか、彼はまたニッコリ微笑む。
バンビは唇から手をひっこめてまたヘラリと笑い返す。
(……いい人、なのかな?
いや、でも勝手に部屋に入ってきてるし!
やっぱり変質者?)
ひとしきり葛藤して見上げると、まだ無邪気に微笑みをたたえている。
「……あの、私、まだ言葉がよくわからなくて…。これから頑張っていくつもりなんだけど、リックは、どこの国の人? 言葉は、ロシア語だけ?」
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