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「待ってよ」
黒い布を羽織った少年が叫ぶ。
声色には緊張と焦りが浮かび上がっている。
「ほらもう目の前だ、行くぞ」
対象に別の男は素っ気なく返事を返す。
彼らの目の前には無駄とも思える程の建物がそびえ立っていた。
「これが学園……か」
俺はそれを見上げるが高さはあまりない、代わりに広い。
「ふぅーやっと着いたんだ」
俺とは対象に息を切らして来たこの男はミナト。
俺以外の人付き合いが苦手でさらに元が弱気で構成されているため本心をあまり口に出さない。
「貴方がユトさんですか?」
門と思われしき場所から優しい雰囲気の男が言った、背丈や体格、顔付きから見て大人……つまり教員であることがわかる。
「それと……」
付け加えるように話を続けたがミナトの名前が解らないのだろう。
「こいつはミナトだ、俺と一緒に転入する事になっている」
俺の背後に隠れるようにしていたミナトをつまみ上げる
つまみ上げると言ってもただ俺の横に引っ張ってきただけだ。
「そうですか、まぁ貴方がいうなら間違い無いのでしょうね」
男はニコリと笑った後に踵を返した。
「付いてきて下さいね」
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