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「物騒な設定ね。とてもじゃないけど信じられないわ」
ひらひらと掌であしらいながら立ち上がる。
馬鹿馬鹿しい。
中二病にも程がある。
天木ちゃんは冷蔵庫から牛乳を取り出しコップに注ごうとするが、
「真実ですよ――天木さん。貴女は特異点です」
手が止まった。
紙パックを握る手に力が入り震え出す。
牛乳を勢いよく置いたせいで、中身が飛び出し床を、壁を、キッチンを汚した。
「じゃあ私が死んだら大勢の人が死にます! だから私を守って下さいなんて見ず知らずのストーカー野郎に頼めないし、そもそも私は特異点だとか死に神だとか信じられないの!」
感情に任せて、思いの丈をぶちまける。彼女の意見はもっとも過ぎる。
今まで死に神だとか、特異点だとか、そんなものゲームかアニメ、それか心霊番組以外では全く馴染みの無い架空の存在。
そんな有りもしない、居もしない、存在しているのかも分からない死に神が「貴方は特異点で、貴方が死ぬと大勢の人が死にます」と言われてもなんのこっちゃ。
頭の天辺に「?」が浮かぶのが目に見えている。極度の精神病を持っているのではないかと疑ってしまう。
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