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苛立ちで興奮しきっている天木ちゃんに対して十六夜君は至って冷静。
十六夜君は彼女に気遣い、いつもより声のトーンを低めに、ゆっくりと話す。
「正しい。貴女はとても正しい。――しかし私も私で、貴女を放っておけないのです……」
十六夜君は「どうすれば信じてもらえるのでしょうか」ともう一度、真っ直ぐに天木ちゃんを見つめた。
怯んだ天木ちゃんは頭を抱えた。
じゃあ何か証明できる物を見せてよ。
それを聞いた十六夜君は、何かもぞもぞと動くが身動きがとれない。
ちなみに先程までの過程は、今に至るまで十六夜君は“半裸姿”でありました。
加えて言えば、妙なアクションをされては困るので、縄で縛られ椅子に固定されているのだ。
「了解しましたが……出来れば解放してくださるとありがたいのですが」
額に冷や汗を滲ませ、決死のお願いを頼み込んでみた。
場は仕切り直された。スーツ姿に身を包んだ十六夜君は、死に神として証明できる“物”を机に並べた。
一つは手帳。
一つはボールペン。
一つはサングラスである。
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